Trafficonf 中京#1 感想

とりあえず、このブログは中京交通勉強会第一回の感想から始めることにした。

1. 全体

多少のプレゼン不手際があったものの、本篇としては概ね滞りなく発表が行われた。経営上の優位性などのバス・鉄道間の比較を軸に、新たな分野として「交通心理学」という話題が講演として発表された。全体的に盛り上がった勉強会になったと思う。また、"第 3 セッション" である懇親会も大いに盛り上がり、全体的に成功した勉強会と言えよう。

2. 個別の発表

天城桜華さん「沖縄のバス」

沖縄の公共交通と言えば、時刻表を見ても分かるように一部を除きバスが主流である。私はそのバス網はさぞかし充実したものだろうと勝手に思い込んでいた。実態はそうでもなく、IC カード・バスカードの類いは存在しない。それどころか、那覇市内から美ら海水族館のような著名な観光地すら直通バスが存在しないと言う。乗り継ぎも不便らしい。うーん、沖縄の公共交通ダメじゃんという感想だった。

夏馬さん「交通心理学」

リスクホメオスタシスという概念を学んだ。車のドライバーはそれぞれが「リスクの最大目標」というものをもつ。すなわち、これ以上危険な運転行為はしてはならないという自分の中の制限をもつというのだ。これがある故に、たとえ安全対策が行われたとしても、その分だけ安全対策が行われる以前に比べて油断してしまう。したがって、結局トータルの運転危険度は変わらない、ドライバー個々人のリスク目標に依存してしまう、というものだ。あー、そんな気がすると思った。実験的にまだ完全には証明されたものではないが、厄介な心の働きだなと思った。

水瀬さん「岐阜の連節バス」

岐阜駅から岐阜大へ向かう二つのバスをくっつけた連節バスの講演をいただいた。ちなみに、私はこの話を聴くまで、Bus Rapid Transit (BRT) と Dual Mode Vehicle (DMV) の違いを混同していた。鉄道ファンとしてはそれはダメだろ…。それはさておき、通常のバスと違った長いバス特有の設備の存在が興味深かった。

ゆずひこ.N さん「これからのローカル地域鉄道」

ローカル鉄道の生き残りで最近よく行われる手法である「上下分離」についての講演をいただいた。多大な固定資産をもつこと、固定資産税を払わねばならないことは、確かに鉄道と言う事業を行う上で大きな経営の足枷になっているのは間違いない。今般、電力事業における配電・発電の分離が言われている。鉄道事業においても、運行、車両の保持・整備、線路・駅設備の保持のすべてを一つの事業体が行わねばならない、ということは必然性を帯びるものではないだろう。鉄道創設期の経営モデルとは違って来ている、それに応じて鉄道の経営体制も革新が必要だと感じた。

銀河さん「ぼくのかんがえるみらいのバス」

鉄道とバスのもつそれぞれの特徴を整理し、三陸地方における公共交通において鉄道・代替バスのどちらがよいかを考える講演をいただいた。特に印象に残ったのは、バス停は鉄道駅のような人がとどまる/集まるターミナル足り得ないと言うこと。現実の所、ローカル鉄道線においては駅前町の発展は貧弱な所が多いと思う。このバス停の弱さはローカル駅の弱さと相通ずるものである。地方都市にしっかりとした中心を作るうえにおいて、バスセンターや駅をひとつの核にすることは都市計画において考慮されるべきだ。また、気仙沼線大船渡線・山田線を転換バス路線とする場合、全国交通 (JR 東日本) 網から外れないようにすることは大切である。具体的には、時刻表に載っていて、列車でアクセスする感覚でバスでアクセスできるような代替バスが望まれる。しかし、これにはワンマン運転の運転手にかかる負担が大きいのが課題という指摘をされた。